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クロールで強いバタ足は不要!?とかいう謎の研究成果報道について

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 マスターズスイマーはじめ、普段から泳いでいるみなさんこんにちは。

 「クロールのタイムを上げたい」と思っている方々からしたら衝撃かつ朗報(?)の研究結果が発表されました。

 2018/7/4に朝日新聞(ネット)で報じられた「クロールのバタ足、速くなる効果なし むしろ水の抵抗増」(杉本崇 記者)という記事をもう読みましたか?

 この記事を読む限り、今後のクロールの泳法に多大な影響を与える(かもしれない)ので、記事が消える前に多くの人にこの記事が広がれば…と思い、投稿したいと思います。

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記事の内容について

引用記事:クロールのバタ足、速くなる効果なし むしろ水の抵抗増

https://www.asahi.com/articles/ASL732TJ1L73ULBJ002.html

要約

 筑波大と東工大の研究チームによるクロールの泳法に関する研究発表論文がジャーナル・オブ・バイオメカニクスで公開。

 自由形(クロール)を1.3m/s以上100m換算だと76.92秒)の速度で泳いでいる時、バタ足(キック)は推進力を得るどころか、かえって抵抗を生んでいる要はキック強く打っても無駄

 1.1m/s(100m換算で90.91秒)ならバタ足が推進力になっている(キックの意味ある)。

 「振れ幅の小さいしなやかなキック」と「水をつかむ上半身を磨くこと」がタイム向上につながるだろう by 筑波大 高木英樹教授

論文アブスト読めます(ただし英語)

 Journal of biomechanics(ジャーナル・オブ・バイオメカニクス)のサイトで論文アブストラクトが読めます。

Effect of leg kick on active drag in front-crawl swimming: Comparison of whole stroke and arms-only stroke during front-crawl and the streamlined position

日本語だったら読もうと思うのですが、Title, Abstractともに英語ですので、雰囲気だけ読みました(笑)。

論文全部読もうと思ったら有料っぽいので「とりあえずAbstractだけでも」という方はチェックしてみてください。

かなりの人に影響しそう

 1.3m/sって、トップスイマーはもちろん、マスターズで泳いでいる多くのスイマーが達している速度なわけで…

 これはかなりの影響度がありそうな研究結果といえると思います。

「100mFrを76.92秒で泳げない人」は関係ない?→No!

 記事に「76.92秒」という文字列があるばっかりに、「100mFr77秒以上かかってるワシには関係ないわ…」と思った方…

そんなことはありません!

 今回の内容は、僕の推定だと100m自由形のベストが1分30秒くらいの人までは大いに影響がある内容だと思います。

 うまく活用できれば自己ベストが1秒とかそういうレベルであがるかもしれないと、個人的にはウキウキしています。

MAXで泳いで、一定ペースで泳げる人なんていない

 「76.92秒」(1分16秒92)というタイムは、1.3m/sのペースを保ったまま100mを泳ぎきったときのタイムです。

 しかし、「100m自由形を本気で泳いで、最初から最後までペースが落ちない人」なんてこの世に存在しません。これは断言できます。

100m自由形を全力で泳いだ時の速度の変化(イメージ)。もしベストタイムが76.92秒より遅くても、序盤は1.3m/sを上回っているかも…という例。

 要は、「一時的でも1.3m/sに達する速度で泳いでいる人には今回の結果が影響ありそう」ということです。

 100mFrが1分16秒92で泳げなくても25mFrが19.2秒より速い(1.3m/s平均で25m泳いだ時のタイム)という方はひとまず関係あるのは間違いないでしょう(個人的見解です)。

なぜタイムが上がるかもしれないのか?

 今回の結果は、序盤からキック(バタ足)をMAXで打つ必要がないということを意味しています。

 もし、序盤からキックを打ってる人はそれをしなくて済む分、体力を温存したまま今までと同じくらいのタイムで泳げます(泳げるはずです)。

 後半腕の力が入らなくなってきて速度が落ちてきたら(1.1m/sペースまで落ちてきたら)キックが推進力として活きてくる速度域に入ってくるので、バタ足を打ってラストスパートをかけます

 レースの前半にキックを打ってない分、以前よりも余力が残っているはずなので強いキックが打てるという見込みがあります(もちろん打てなければ意味ない)。

 そして結果的にタイムが伸びる…というカラクリです。

次世代のクロール最速理論が塗り替えられる?

 上の映像は2014年男子200m自由形の映像で、萩野公介選手が優勝した試合です。

 トップスイマーも現状は足をバタバタと力強く蹴っている様子が見て取れます。

 記事内で研究関係者の筑波大学・高木英樹教授のコメントにあるように「振れ幅の小さいしなやかなキック」がタイム向上につながるということがトップスイマーレベルでも実証されれば(←ここ重要)、今後の競泳界は記録ラッシュに湧くかもしれません。

練習内容はどうなりそう?

 自由形に関しては、キックの練習量よりもプル(手のかき)の練習割合が大幅に増えることは間違いないでしょうね。

 パドルをつけたりして長い距離をプルのみで泳ぐような練習が増えると、キックメインで泳いでた人にとっては地獄ですね^^;

 あとはいかにキャッチを早くできるか、という技術的な練習も重視されそうな気がします(プルこそ全てという理屈に行き着いたら)。

余談:本件の影響度はどれくらいか?

 僕が水泳を競泳として泳ぎ始めたのは2003年からなのですが、それ以降であった競泳界の「革命的出来事」についてまとめてみました。

 今回の内容は、過去の出来事と比べてどれくらいの影響度があるでしょうか…?

S字プル→I字プル全盛

 主にバタフライに関してですが、昔は「より多く(長い時間)水がかける」という理由で、水のかきは水中でS字を描くようにかいていました。

 水泳部に入ってしばらくしてから、「いや、I字のほうが効率的でしょ」と言われるようになり、水中で真っ直ぐかくI字プルが主流になったのを覚えています。

 おそらくCFD(数値流体力学)などが発展してその研究の成果だと思いますが、どこからこれが言われたかは不明です^^;

平泳ぎの水中動作規定変更

 平泳ぎは専門外だったので当時は正直「どうでもいいや」って感じでしたが…^^;

 まず2006年に、飛び込み後やターンのあとに水中で「ひとかき」する間にドルフィンキックを1回打っていいという規定が付きました。

 そして2015年にはドルフィンキックを打つタイミングが「ひとかき」の間でなくてもいいという風に改定されたようです。

 2006年の規定がつくまでは「アイツ蹴ってるだろ」と言われかねないような足の動きをしている人が結構いて、真面目にルールを守ってる人と守ってなさそうな人で差がついている印象はありましたが、これで一応平等に。

 ただ、2015年の改定までの間に「飛び込んで水しぶきが立っているうちにこっそりドルフィンを複数回打つ」最早チーターと揶揄できるような泳法者がワールドクラスでも現れ(下動画はハッキリ確認できます。後に世界記録を出した人が「3回打った」とカミングアウトした模様)、現在に至ったようです。

再生と同時にスタートの場面から始まります。飛び込んだ直後の水中動作に注目。みんなドルフィン打ってる^^;

高速水着開発競争

 研究系で直近最大の案件といえばこれかなと思います。

 Speedo社のレーザー・レーサーに始まり、抵抗が少ない水着がガンガン出てきて記録ラッシュ、「人が泳いでいるのか、水着が泳いでいるのか」という哲学的命題が湧いたのは記憶に新しいですね。

・Wikipedia – レーザー・レーサー

レーザー・レーサー - Wikipedia

 実は、僕の所属していた水泳部でも、レーザーレーサー以降に開発された山本化学工業のバイオラバースイム(通称「たこ焼き水着」)をリレーメンバー用向けに4着用意して試合で使ってました。別に超強豪校ってわけでもないんですけどね。

 ただ全国(高専)大会で優勝できるかどうか瀬戸際な位置だったということもあって、「頼れるものなら水着にもすがりたい…」という感じだったのかなと今振り返れば思います(実際タイムも伸びてたっぽいし)。

本件はここ最近のビッグニュースになるかも

 …と振り返ってみましたが、やっぱり今回の研究結果の影響度は場合によっては高速水着問題に相当するビッグな成果を生む気がなんとなくします。

 実際影響があったかどうかが分かるのは数年後だと思いますが…

個人的見解

 ぶっちゃけ今回の記事を見たときは…「あー、やっぱりなー」って感じでした。

 というのも、先日投稿したメニューに関する記事で、力感ゼロで泳ぐというメニューをやってることを書きましたが(3つ目のメニュー)…

 その「力感ゼロ」の泳法こそが、足が下がって抵抗にならない程度にしかキックを打たず、ほぼプルだけで泳いでいたにも関わらず、その時のタイムが力んで(=キックを打って)泳いでいたタイムとあまり変わらなくなってきたので、「キックっていらないんじゃね?」という疑念はありました。

 ただ、あくまで「自分くらいの速さ(50mあたり50秒クラス)で泳ぐ場合」ですけどね…

「ドルフィンクロール」と組み合わると…

 現役時代、100m自由形のラスト25mのキックを打つのがしんどすぎて打てなくなってたので、その対策としてドルフィンキックを打つクロール(通称:ドルフィンクロール)をやっていました(下:参考動画)。

 このドルフィンクロールは、バタ足と比べると推進力があるという点と、そしてバテたときに表れやすい体の左右のブレが抑えられるというメリットがあります。

 デメリットを挙げるとすると、ドルフィンキックを打つことでプルの推進力があまり得られなくなるという点があります。要はクロール(手のかき)の推進力<ドルフィンキックの推進力という構図になるため、プルが活かせなくなるということになります。

 なので、序盤はほぼキック打たずにプル主体で泳いで、ラスト25mをドルフィンキックでプルは呼吸のタイミング取るために回す感じで泳げばいいんじゃないか…?と今PCの前で思っています。

 まあ、所詮頭の中で考えたことなので実際泳いだらさっぱりかもしれませんが^^;

さいごに

 これだけ書いといて最後にコレを書くのもアレかなと思いますが…

 今回の実験では速度1.1m/sと1.3m/sについて得られた結果みたいですが、トップスイマーは2.0m/s以上の速度で泳ぐわけで…

 その速度領域だと果たしてどうか?(バタ足が全く推進力をもたらしてないのか?)というところは疑問です。

 その領域も理論的に実証済みだ、というのであればホントにスゴいことになりそうなんですが…どうでしょう?


では~

スイミング
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